LMD(レーザーマイクロダイセクション)により精密回収したFFPE(ホルマリン固定パラフィン包埋)組織サンプルのLC/MSショットガンプロテオーム解析

概要
バイオシスではホルマリン固定包埋組織検体(FFPE tissue specimen)を用いたプロテオーム解析による定性・定量解析技術を確立し、各医療機関・研究機関に方法論の提案を行ってきました。これら技術をもとに各医療機関や研究機関、製薬企業との提携を通し、技術開発・研究開発における補完・相乗効果の向上を目指します。
医学研究の分野において広く長期にわたり収集された膨大な量のホルマリン固定組織が、未開拓のプロテオーム情報源として存在しています。疾患の進行や薬物反応・毒性などの詳細な臨床データをもつこれらの組織アーカイブは、診断・治療に有効なタンパク質バイオマーカーの探索・解析に大きな可能性を与えるものです。
バイオシス・テクノロジーズではレーザーマイクロダイセクション(LMD)(ライカLMD-7)を使用しており、研究者から依頼を受けたスライド上の固定組織サンプルの疾患部位など特に重要と思われる部位を、顕微鏡下においてum単位で精密にダイセクションして回収し、特殊処理によるサンプル前処理を行って、高分解能MSによるショットガンプロテオーム解析を行います。またはお客様ご自身にてLMDを操作してサンプル回収を行う事も可能です。
-スペクトラルカウント解析によるノンラベル定量解析-
データ解析に関して、スペクトラルカウント解析によるノンラベル比較定量(下記論文(1)-(4)参照)をオプションで承っております。スペクトラルカウントは取得したLC/MS/MSのデータをそのまま使用して半定量解析を行う手法であり、改めて測定を行う必要がありません。スペクトラルカウントは群間比較による比較定量を行うので、論文化などオフィシャルに確度の高いデータを取得するためには最小単位として2群(1群あたり3サンプル)の合計6サンプルが必要となります。ただし目的に応じて、例としてサンプル1対1の比較の検討などの調整は可能ですのでお気軽にご相談下さい。
(スペクトラルカウント参考文献)
(1) Old W. et al., Mol Cel Proteomics 2005, 4, 1287.
(2) Powell DW. Et al., (2004) Mol Cell Biol 24:7249-7259;
(3) Paoletti AC., et al., (2006) PNAS 103:18928-18933.
(4) Xiaoyun Fu Et al., (2008) Journal of Proteome Research 7, 845-854
[プロテオーム解析 試験内容]
-サンプル前処理条件検討-
バイオシス・テクノロジーズ社の技術者が、お客様ご提出のFFEP組織サンプルスライドからLMDによってサンプル回収を行い。前処理を経てLC/MS解析を実施致します。すでにお客様にてサンプル前処理を実施いただいている場合はそのままLC/MSにて解析をスタート致します。解析期間は分析サンプル数や測定対象内容によって異なりますのでお問合せ下さい。
-LC/MS試験測定ならびに本測定-
サンプル前処理が完了しますと、LC/MS測定条件最適化を実施します。すべての測定条件が整いましたら、対象サンプルの測定を実施します。まずはご用意いただいたサンプルの試験測定を行い最終的な測定条件の最適化を実施します。その後、実サンプルの本測定を行います。
-データ解析-
LC/MSによって取得した生データはMASCOTTM Softwareによるデータ解析を行います。さらにご要望に応じてノンラベル定量解析(スペクトラルカウント解析)によるデータ解析を行うことも可能です(有償)。ノンラベル定量解析(スペクトラルカウント解析)をご希望の場合はサンプル群間の比較解析を行いますので、最小単位として2群、サンプルは群ごとに3サンプル、合計6サンプルが必要になります。ただし目的に応じて、例としてサンプル1対1の比較をご希望などの調整は可能ですのでお気軽にご相談下さい。
-お送りいただくもの-
FFPEサンプルをDirector Slide()に固定し、脱パラフィン処理したもの、ならびに参照用スライド(HE染色など)として同一箇所のスライドをご用意ください。参照用スライドにダイセクション箇所をマーキングして下さい。上記のものを弊社までご送付下さい。
-納品物-
解析データ、タンパク質同定データ、ならびにLC/MS測定条件を含めた解析条件情報
参考文献
(1) An improvement on mass spectrometry-based epigenetic analysis of large histone-derived peptides by using the Ionization Variable Unit interface, Analytical Biochemistry 486 (2015) 14–16
(2) Perspectives: Full-length transcriptome-based H-InvDB throws a new light on chromosome-centric proteomics. 2013, Journal of Proteome Res. 12(1): 62-66.
(3) Cancer Phenotype Diagnosis and Drug Efficacy within Japanese Health Care. 2012, International Journal of Proteomics (2012), Article ID 921901, 10 pages.
(4) Proteomic Profiling of Thyroid Papillary Carcinoma. Journal of Thyroid Research Volume 2012, Article ID 815079, 7 pages
(5) A Clinician View and Experience of Proteomic Studies in the Light of Lung Cancer in Japanese Healthcare 2011 Journal of Proteome Research, 10: 51–57.
(6) Developments for a growing Japanese patient population: Facilitating new technologies for future health care. J Proteomics. 2011 May 16;74(6):759-64.
(7) Periostin, discovered by nano-flow liquid chromatography and mass spectrometry, is a novel marker of diabetic retinopathy. Biochem Biophys Res Commun. 2010 Aug 20;399(2):221-6.
(8) Proteomic analysis of laser-microdissected paraffin-embedded tissues: (1) Stage-related protein candidates upon non-metastatic lung adenocarcinoma., 2010, Journal of Proteomics, 73(6): 1089-1099.